真夜中の読書家

夜だ。さあ、本を読もう。

「書架の探偵、貸出中」は、まだ読んでない。

本のタイトルに「図書館」とか「書架」とか付いていると、つい買ってしまう。私の悪い癖だ。「蔵書」や「小説家」も同じだな。確か「二流小説家」という本もタイトルだけで買ってしまった。

もう一つ悪い癖があって、それは「わしは読書家である」とアピールしたがるというものだ。この間も打ち合わせまで時間が空いたものだから連れと本屋によったんだが、つい一冊本を買ってしまった。連れが男なら買わなかったのだが、女性だったからなあ。思わず読書家をアピールしてしまったのである。

で、何を買ったかというとジーン・ウルフという人の「書架の探偵、貸出中」という本である。帰ってから裏表紙の紹介文を読んでみたら、なんと「書架の探偵 続編」と書いてあるではないか。私は、怒り心頭に発した。いやいやいや、だったら表紙にでっかく「続編です」と書いとかんかい! さらにこの本、薄っぺらなのに2,200円もするのである。早川は高すぎるんじゃ~と一時間は吠え続けた。

そして、さらに衝撃的なことがあった。巻末に牧眞司氏の解説が載っていたのだが、そこに驚くべきことが書いてあったのだ。抜き出してみよう。

「先に言っておかなければならないのは、この『書架の探偵、貸出中』はウルフの遺作(歿後出版)であり、完結していないということだ」

あわてて小説の最後のページを開いてみると、無情にも(未完)と書いてある。いやいやいや、牧くん、「先に言っておく」と書いているが、君が書いたのは12行目だぞ。遅すぎるんじゃ~。ふざけとんか~。私は、怒り心頭に発した。それやったら表紙のタイトルも「書架の探偵、貸出中(未完)」と書いとかんかい!

調べてみると「書架の探偵」は2,420円だ。続編と合わせて消費税込みで5,000円超えではないか。しかも、Amazonの評価では、★が3.5である。微妙な評価なのだ。

かと言って続編の、しかも未完の作品から先に読むのは意味がない。まず最初の作品を読んで世界観を把握し、その上で続編を読みこんで、未完後までをもイメージすべきだろう。それでこそ読書家としての正しい姿である。しかし、2,420円か……。

明日、図書館で探してみるか、と私は呟いた。