真夜中の読書家

夜だ。さあ、本を読もう。

「Ank : a mirroring ape」を読んだ。

私は、英語が嫌いである。なぜなら話せないからだ。言葉など日本語で十分。日本に住むなら日本語を話せ。なにが「What?」だ。これ見よがしに肩をすくめやがって。アイハブアペンで育ったジジイに、ネイティブな発音など無理に決まっているだろうがあ!

さて、佐藤究の「Ank : a mirroring ape」を読んだのだが、英語のタイトルのせいか最初は忌諱していたのだ。初めて読む作家だが、評判がいいのはネットの情報で知っていた。なかなか読ませる作家らしい。中古なら1円とあったのだが、送料が1,100円である。アホか。そんなんだったら新品を買うわい。文庫本なら1,200円だ。

一気読みしたわけではないのだが、それは私の集中力が足りないせいである。一般的には一気読みできるレベルなのではないか。時系列に沿った展開ではないので、ややかったるい点もあるのだが、リズムに乗ると気にならなくなる。文章は平易で気取らずわかりやすい。こういうのを文章力があると言うのだろう。

一匹のチンパンジーから広がるパンデミックの話で、展開はゾンビものだ。私もゾンビが大好きで書いてみたいと思っているがなにぶん手垢の付いたジャンルだ。安易には書けないのだが、佐藤究はうまいことやったようだ。うらやましい。

記述の中に「チンパンジーと人間の遺伝子のちがいは、わずか1.8パーセント程度しかない。自分たちとたった1.8パーセントだけしか変わらない生きもの。彼らを知ることが、人類進化の謎を解く手がかりになる」とある。

私は、この説の前半部分には反対である。

あなたね。いくら類人猿といえども、私とチンパンジーの差が1.8パーセントなんて信じられないに決まっているではないか。あいつらは言葉も喋れないし、四則演算もできない。私は引き算は苦手だが、かけ算は9の段までほとんど言えるぞ。まあ、鏡像認知できるのは、人間以外ではエイプだけだというのはたいしたものだが。

まあ、遺伝子の差に関しては諸説あるようだ。調べ方にしても、両方の遺伝子でまったく違う部分は切り捨てるという手法がとられているらしく、素人視点にしても、それはちょっと乱暴なのではないか。また、犬と人間の遺伝子の差は20パーセント、バナナとの差は50パーセントという情報も載っていた。

いやいやいや、あなたね。私とバナナの差が50パーセントなんて、そんなわけないではないか。つまり、遺伝子の差と生命体としての差は、イコールではないと言うことなのだろうと私は結論づけたのである。とりあえずそうした部分は無視して、小説として楽しめばいいのだ。

ちなみにこの作品の主人公に対する結末は、私としては好みではない。私だったら、ああしてこうしてどうするかと細部に至るまで考えてみたのだが、私の結末の方が広がりが出ると思うんだがなあ。まあ、自画自賛だ。余計なお世話だな。